なごミストとは
都会の熱を緩和するために開発された噴霧装置。それがなごミストの正体です。顔にかかっても気がつかないくらい微小粒径な水滴を使用することを強調する意味で、当初は「ドライミスト」と呼んでいたのですが、ありふれた言葉だったので私が「なごミスト」と名づけました。
なごミスト開発の第一の目的は、都市のヒートアイランド化を緩和すること。
みなさんは外気温が下がるとどのような効果があるかご存知でしょうか?そもそもクーラーは室内を冷やしてくれますが、クーラーから熱風が噴き出していることはご存知かと思います。 この熱風はなぜ生まれるのでしょうか?それはクーラーに負荷がかかっているからなのです。外気温が高く空調システムに負荷がかかれば当然熱を放出します。パソコンを使用していても、負荷がかかればファンをまわし、熱を放出しはじめますよね。それと同じ仕組みです。ではこのクーラーが放出する熱はどうしたら減らせるのでしょうか?
外気温を下げることが一番。
それは外気温を下げるが一番といえます。しかし室内を冷やすことはともかく、室外や半室外を冷やすのは簡単にはいきません。ですが、考えてみてください。
真夏でも避暑地と呼ばれる地域は非常にすずしく、快適な気温が保たれています。天然クーラーとはよくいったものですが、この天然クーラーを街につくれたらどうでしょう。そのために緑化を目指すことも一つの方法ですが、都市で森を育てるのは現実的ではありません。
ですが、森のしくみを再現する方法があれば外気温を下げることは可能です。つまり木を植えずに水だけを蒸発させることで、気温を引き下げる効果が出そうと考えたのです。
森の蒸散システムを都心に導入
森にいて涼しいのは木々が葉から蒸散するときに周囲の熱を気化させるからです。森の中では裸の地面より約2度気温が下がります。この作用を人工的に作れれば、クーラーをつけることなく寝苦しい熱帯夜から開放されるにちがいありません。早速開発に着手しましたが、細かい水滴をいかに少ないエネルギーでつくるかにはとても苦労しました。ミストを作るのに機器に負荷がかかりすぎては、意味がありません。試行錯誤の結果、肌にあたっても濡れないと感じる水滴の大きさで噴霧しながらも家庭用クーラーと比較時に空気の温度を下げる能力では30倍の効果を出すことに成功したわけです。
また、なごミストの使用によって局所的に気温が下げると、ダウンフロー現象(下降気流)が起こって、空気が動きます。奥行の長い構造の中ほどに井戸があると風が起こるのと同じ現象が起きるのです。つまり、なごミストは気温を下げることだけではなく、風を起こすことにも役立つというわけなのです。
都市の気温を大きく下げることはできませんが、すごく熱いをちょっと熱いと思える外気温になることをめざし、今後も開発をすすめていきたいと思います。